災害救助に役立つ近距離通信用スマホアプリ (10月1日号)

IFSJ発ベンチャー企業
OFF Line株式会社、石塚孝一代表に聞く

グローバルITカンパニーの有望株
近距離通信用スマホアプリ
AirTalk、災害救助や認知症患者の発見に威力

日本イノベーション融合学会(IFSJ)で発掘されたベンチャー企業、OFFLine㈱(石塚孝一代取締役社長CEO)が開発した、近距離通信用スマホアプリ「AirTalk」が災害用のインフラとして使えるとして、脚光を集めている。

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「災害時の携帯電話やメールがつながりにくくなるのは皆さん経験済みです。LINEやツィッターもインターネット回線が無くなれば役に立たなくなります。その点、AirTalkは、インターネット回線が使えない場合でもブルートゥース4.0とWiFi回線を使用し、トランシーバーのようにスマホ同士を直接つなぎ、直径200メートル以内の利用者同士が、チャットなどコミュニケーションを取ることができる次世代のSNSアプリです。
位置情報を元に、人がそこにいることがわかるので、災害対策や認知症の高齢者に利用できるのではないか?と問い合わせが殺到してきています」(石塚代表)。
この機能面では米国シリコンバレー発の「FireChat」が先行していたが、投稿したメッセージが表示されるまでの速度を1秒以内と高速性を大幅に高め、ライバルを凌いでいる。
ブルートゥースはセキュリティが心配だが、「高速化のため、iPhoneに入っているブルートゥースモジュールの設計をプロトコールから作り直しました。そのため、どのスマホとつながっているかをハードウェアレベルで把握する仕組みとなり、『成りすまし』などが出来ない構造となったので、セキュリティは万全です」(同)。反面、アップルの審査には長い時間がかかった、という。
この開発には同社の松山CTOと盛川英典CSOが担当。ともにブルートゥースを使ったコンテンツ制作会社にいた経験知が活かされている。石塚氏自身は、ハーバード大学経営大学院AMP卒、東証2部やマザーズ上場企業の社長経て、2013年にオフラインを設立、AirTalkの開発を機に“利用者の位置情報に基づくコンテンツを配信するプラットフォーム型ビジネス”を立ち上げ、世界最大のメッセンジャーアプリ企業を目指す、という。
しかし、LINEやフェースブックなど先行しているSNSにどう対抗するのかを聞くと、「LINEはライバルではなく、むしろ近くにいるLINEユーザーを探せるのでSNSを横断的につないでいける可能性が高い」(同)。また、日本最大級の写真SNSで700万人の会員がいる写真共用サイト「フォト蔵」を同社が運営しており、AirTalkをコラボさせていくことも可能だ。現在のバージョンでは近くにいるフォト蔵ユーザーがAirTalk上で分かる。
今後の展望を聞くと「日本発のITグローバルカンパニーを目指し、ナスダック上場を目指しています。「フォト蔵」は写真を無料で無制限に保存できるサービスを提供しており、主に格安携帯が使用される中華圏・東南アジア市場で伸びています。
AirTalkは新型SNSアプリが主戦場の北米市場で成長させていく考えです」と語った。日本発、将来有望な世界市場に乗り出すベンチャー企業がようやく現れ始めたようで、期待したい。